佐野海舟選手は
2023年に22歳で
日本代表に選出、
同年に代表戦出場を果たした
才能あるサッカー選手です。
ポジションはMF
(ミッドフィルダー)。
2024年7月3日、
鹿島アントラーズから
ドイツのブンデスリーガ
(欧州五大リーグのひとつ)の
『1.FSVマインツ05』への
移籍が発表され、まさに
将来を嘱望された選手でした。
しかしこの朗報の直後、
7月17日に佐野選手は
不同意性交容疑で逮捕されました。
知人男性二人と共謀し
ホテルで女性に性的暴行を
加えた疑いで勾留、その後釈放。
釈放後、佐野選手は
所属事務所を通じて
「この度は、私の行動によって
被害者の方に多大なご迷惑を
かけてしまった事を
心よりお詫び申し上げます」と
コメントを発表しました。
7月31日、マインツは
「東京の検察庁は、
(佐野選手に関する)捜査を
終了した」として佐野選手の
チームへの合流を宣言、
言葉通り佐野選手は
8月1日から
マインツのキャンプに参加。
8月8日、東京地検は
佐野選手を不起訴処分としました。
理由は明らかになっていません。
佐野選手はその後マインツで
飛ぶ鳥を落とす勢いの大活躍。
その見事な健闘を受け
このたび日本代表に復帰、
めでたしめでたし・・・と言って
いい話なのでしょうかこれは。
「相手に謝罪し、
話し合いが済んでいる」
「本人が深く反省している」
「不起訴処分となり
刑事事件としては
責任を問われていない」、
以上3点の理由から
選出には問題なしとのこと。
確かに佐野選手は
逮捕から一貫して
自身の行動について
反省・謝罪の弁を述べています。
不起訴処分にもなっています。
ただ・・・
ただ、あの逮捕があった時点で
もしも佐野選手のマインツへの
移籍が確定していなかったら
マインツはオファーを
取り消していた可能性が高い。
アントラーズも佐野選手を
次のシーズンで試合には
出さなかったと思う。
そうなっていたら佐野選手は
自身の能力を
発揮する機会が得られず
今回の代表選出も
なかったと推察される。
そういう意味で佐野選手は
ものすごい強運の持ち主。
しかし1対3の
不同意性交疑惑で逮捕され
不起訴になったとはいえ
『相手への謝罪』をした
(つまり謝罪が必要とされる
行為をしたと推察される)選手に
代表という活躍の場を
逮捕から1年もしないうちに
与える、というのは、これは
JFA(日本サッカー協会)は
胸を張れる決定なのでしょうか。
佐野選手の逮捕直後
(2024年7月18日)に
開催された理事会で
JFAの宮本会長は
佐野選手の件に触れ
「サッカー界はすべての人に
リスペクトをもって
接することにしている」と
発言しています。
つまりこれが日本サッカー界の
『リスペクト』の表現?
悪いことをした人間が
反省・贖罪をしたならば
それを受け入れるべき、という
社会理念はわかります。
逮捕以降の1年間の
佐野選手は本当にすごかった、
マインツ移籍一年目にして
走行距離・インターセプト・
スプリント数などで
リーグトップを記録、
充実した身体能力を
これでもかと発揮し
見事な成績を収め
その成果を称賛され認められ
国の代表にまで選ばれた。
これは『贖罪』なのか?
佐野選手が謝罪した先の女性、
1対3で不同意に性交をされ
直後に警察を呼ぶという経験を
した・させられた女性は
その後の1年間、
佐野選手と同じくらい
メンタル・フィジカル万全で
能力を発揮し存分に活躍できて、
その仕事ぶりを周囲に
認められていただろうか?
日本代表の森保監督曰く
佐野選手は「ミスを
犯した選手」だそうです。
チームの一員を
家族として
考えているそうです。
・・・昔の映画で
マフィアの親分が
いいそうなセリフでは
ございませぬか?
そんなこんなで素直に
佐野選手の招集を
喜べなかった私ですが、
自国代表を
擁護したい気持ちもあって
今回の件をかなり
佐野選手側に肩入れしながら
夫(英国人)に説明したところ
「へえ、日本サッカー協会は
性加害者に優しいんですねえ!」
「いや君、加害者と断定しては。
不起訴である以上我々は
『佐野選手が相手に謝罪した』
という結果しか知らないわけだし」
「佐野選手はあの選手とは
違うんですよね、
女性二人に対する不同意性交で
起訴されて、その女性二人を
起訴し返した選手とは・・・」
「それは伊藤純也選手な、
そう、その選手とは違う」
「佐野選手は『逮捕は不当』とか
『事実無根』とかは
主張しなかったんですよね?」
「しなかった、しなかった、が、
これはある意味己の非を認めた
潔い態度とも言えて・・・」
「日本のサッカー選手は今後
この事例に学ぶんでしょうね、
不同意性交をしても
とにかく不起訴に持ち込んで
海外移籍して口数少なく
神妙な顔をしておけば1年で
代表に復帰させてもらえる、と」
「いや君、すべての選手が
この戦術をとれるわけじゃないぜ、
これは佐野選手が
サッカー選手として
たぐいまれに優秀だからこそ
できた離れ業で」
「つまりサッカーが上手なら
何をしても許される、という
理念を日本サッカー協会は
示したんですね。
僕は自分がフットボールに
興味がないから思うんですけど、
フットボールファンって本当に
『上手な選手』に甘いですよね。
あ、僕は日本だけを
評しているんじゃないですよ、
フットボールファンって
そういう感じですよね」
・・・。
ところで夫と話していて
気づいたんですが、
今回の件、私は佐野選手ではなく
その周辺の日本サッカー関係者と
報道陣に口惜しさを
感じているみたいなんですよ。
だいたいね!
佐野選手にしてみたら
あそこでマインツ移籍を蹴ったり
ここで日本代表選出を辞退したり
出来ない立場ともいえるでしょ?
マインツ移籍の際に
マインツのサポーターからは
非難の声も出ていたんです、
でもマインツ首脳陣はそれを
「(日本側の)検察による
捜査は終了した」
「当局による法的決断は決定的」
「これ以上何か言うつもりなら
それは誹謗中傷・虚偽の非難だ、
こっちは法的措置を取るぞコラ」
(注:意訳です)とあしらった。
(それにしても不起訴決定前に
何故マインツは佐野選手の
チーム合流を決定できたのか)
(陰謀論者の血が騒ぎますが
今回はあんまりそういう
ふざけ方をしたくない)
被害者女性はどうして
勇気をもってこの件を起訴に
持ち込んでくれなかったか、と
言いたい人もいるかもしれません、
でもさあ、検察の検事正が
部下を泥酔させて性交して
謝罪の手紙を書いておきながら
無罪を主張するような国で
性加害を刑事事件化するのって
たぶん我々の想像以上に
大変なことじゃないですか。
まあ『刑事裁判で有罪が
確定するまでは無罪』という
話もわかる、わかるんです、
でもじゃあこの佐野選手と
中居正広元SMAPメンバーの
問題の取り扱われ方の差異は
いったいどこにあるのか?
中居元メンバーだって
刑事事件で有罪には
なっていないじゃないですか。
問題発覚後、佐野選手は
異国の地で大活躍、
一方中居元メンバーは
すべての仕事を失っている。
フジテレビから
広告を引き上げたスポンサーは
何故JFAに対応を求めないのか?
フジテレビを叩きに叩いた
報道関係者は今どこにいるのか?
・・・私も
フットボールファンの末席に
位置するからわかるんです、
W杯では自国代表がより多く
勝ち星を挙げたほうがいい、
報道も盛り上がる、
経済的な利益をもたらされる、
ファンは長く楽しめる・・・!
佐野選手がいるといないでは
多分「いたほう」が
代表の勝率は上がる。
そう、夫は正しい、
「フットボールファンは
『上手な選手』には甘い」・・・!
というか本当に
メディアは何をしているのか。
賭けてもいいんですけど
次のW杯開催前には
BBCあたりが
『各国代表と性加害問題』を
特集報道してくると思う、
スペイン代表監督は
女子選手に
接吻したことで辞任しました、
韓国のFWは性行為違法撮影で
代表未復帰となりました、
そして日本のMFは
集団性的暴行疑惑で
逮捕され謝罪しました、
しかし刑事事件には
ならなかったので
溌剌とした活躍を見せています!
・・・そんな報道が出たら
代表とスポンサーのイメージは
国際的に台無しになると
思いませんか。
いいんですか
日本代表を応援する
日本を代表する企業の
皆様はそれで。
私としてはそういう
恥ずかしい形で
問題が蒸し返される前に
NHKとか読売新聞あたりに
「佐野選手復帰、
何故問題ないのか
(中居正広問題と比較して)」
みたいな検証報道をして欲しい。
「問題ない」理由を知りたい。
それでないと私は
自国代表を
応援しかねてしまう・・・!
だからさ!
不起訴は不起訴なの!
佐野選手がある意味
被害者かもしれない
可能性だってゼロじゃないの!
不起訴に文句をつけるのは
それこそ法治国家の国民としての
自覚が足りないのと違いますか?
という方は、じゃあ
中居元メンバーの現状に
疑問の声を出しているのか、
性犯罪を繰り返しながら
そのたび多額の示談金を支払い
起訴を免れて来た元慶大生に
問題はないとするのか、
性的暴行容疑で逮捕されながら
不起訴処分となった
移民男性のことを支援するのか。
芸能人や移民と佐野選手は
一緒に出来ないでしょ、と
思ってしまったそこのアナタ、
それは何故、佐野選手が
『サッカーが上手い』から?
結局我々は己の娯楽のために
被害者の存在を忘れ
なんなら自分の中に生じた
罪悪感から目をそらすために
「被害者側にも
問題があったのでは」
「被害者側にこそ
問題があったのでは」
「被害者が悪いのでは」と
認識を捻じ曲げていく。
マスコミの皆様だってアレじゃろ、
迂闊に佐野選手やJFAを非難して
「じゃあおたくの媒体からの
取材は一切拒否します」と
日本代表広報に言われたり
「ねえ、うちは代表の
スポンサーでもあるんだけど、
うちの支援方針に不満があるなら
おたくの媒体に出している
広告を取り下げるよ」と
広告主である大企業様に
言われたりするのが怖いんじゃろ?
ジャニーズの時と同じ構図、
問題があるのはわかっているけど
それを指摘すると所属タレントが
自分のところのメディアに
出てくれなくなっちゃうし、
滅多なことをいうと広告主から
文句が来ちゃうから見て見ぬフリ。
それでスポンサーはスポンサーで
下手な『おり方』をすると
それこそサッカーファンから
不買運動を起こされたり
ライバル企業に立場を
とってかわられたりの目に合う、
そんな危ない橋は渡りたくない。
こう考えると『NYタイムズ』は
よくワインスタイン氏を
一社で告発したよなあ・・・
そんなわけで
佐野選手の代表復帰、
私は佐野選手個人ではなく
その周辺に苛立っている模様です。
特に報道。
ネット上の報道を
見る限りなんですけど
代表復帰会見をもって
『みそぎを終え』とか
『【不同意性交疑惑】
乗り越え』とか・・・
『乗り越え』って何、
佐野選手は被害者?
美談扱い?
でもあれですよね、
全体的に現在の報道は
あの事件を
『過去のこと』として
もう触れまいと
決意した論調ですよね。
(『Number』なんかは
代表復帰前から
佐野選手の活躍を
手放しに賛美していた印象)
いじわるな見方をすれば
佐野選手はなぜもっと早く、
マインツ移籍前に会見を
開かなかったのかという話で、
某ショーン・コムズは
元恋人に暴行で訴えられ
大金を積んで示談に持ち込みつつ
「示談にはしましたけど
それは彼女の訴えを
認めたわけじゃ
ありませんから」って
ずっと言っていて、
それが後日証拠のビデオが
流出しちゃって、それでも
コムズはだんまりで、
地元の検察が「このビデオに
映っている暴行場面は
残念ながら時効です」と
明言してやっと
謝罪動画を公開したのですが
・・・やっぱりあれですか、
代表に呼ばれるまでは
危ない橋は渡りたく
なかったとかそういう・・・?
選手のことを家族の一員と
考えるならそれでいい。
でももしも
その一員が事件を起こしたら
事件の被害者には
誠心誠意対応するのが
良識ある他の家族の
役目ではないのか。
佐野選手を今回代表に
呼ぶべきではなかった。
私はそう思うのです。
走れて当たれて本番に強いMF、
私は個人的には大好きです
佐野選手が徹頭徹尾
謝罪の姿勢を
示し続けているのも
私は評価している・・・というか
正しい対応だと思います
ただそれでも今回の選出は・・・
選出した側がもっと丁寧に
経緯と選出理由を
説明するとか、
一部の人が信じるように
佐野選手の当夜の行動に
問題がなかったなら
それを明言するとか、
代表監督が『家族』として
被害者とされる女性に
謝罪をするとか、
女性から手紙を預かって
それを代読するとか、
そういうことがあったら
私も受け入れられた・・・
のではないかと思います
マインツも森保監督も
決定前に「佐野選手と話した」と
言っていますけど、それは
いじめ問題でよく出る
「加害者側の一方的な説明を
鵜呑みにし」とどう違うのか
日本代表が国際試合で
なかなか勝てない時代から
それでも「サッカーでは
自国代表を応援すべき」の精神で
4年に1度は必ず
青色のユニフォームに
声援を送ってきた私ですが
こんな理由で
「自国代表を応援します」と
胸を張って
言えない日がくるとは
想像もしておりませんでした
今回の記事、やたら長いし
日本代表の勝利を
最優先事項とする
サッカーファンからは
「うるせえ黙れ」と
言われること確実だろうし
下手をしたら『被害者』に
「こんな風に過去を
蒸し返されたくない」と
思われてしまう
内容かもしれません
でも今これを書いておかないと
私も性加害に関して
見て見ぬフリをする側の
人間になってしまう
次の世代(特に
フットボールファン)に対して
言い訳・面目が
立たなくなってしまう
佐野選手を
批判したいのではない
JFAとメディアと
この問題を忘れようとする
日本代表サポーターに
「それでいいんですか」と
お尋ねしたいのでございます
読んでいただき
ありがとうございました

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